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閉脚跳び(かかえこみ跳び)は誰でも跳ばせられる(加筆再掲載) [体育]

閉脚跳び(かかえこみ跳び)は誰でも跳ばせられる
(加筆再掲載)

加筆再掲載の第2弾は、跳び箱指導・閉脚跳び(かかえこみ跳び)です。
まず、最初に強調しておかなければならないのは、いわゆる「中抜き」といわれる技と
閉脚跳びは異なるということです。
中抜きは、まさに両手で体を支持してブランコのように脚を後ろから前に抜くだけの
技です。着手の時間も長くなりがちです。
しかし、閉脚跳びは着手の時間が短く体も一旦伸びます。
「先生、私は閉脚跳びができます」
というので見せてもらうと、それが中抜きだということも多いので指導者としては
注意が必要かと思います。

開脚跳びに比べて、閉脚跳びは難易度が高いと思います。
しかし、安全にかつ意欲的に子どもたちが取り組む方法は、あります。
全員ができるようにするためには、さらなる改良が必要だと考えます。
私が考えた方法をヒントにして、さらによい方法を見つけて頂ければ
幸いです。
ーーーーーーーーーーーーーーーー以下 過去記事ーーーーーーーーーーーーー

向山A式、B式により開脚跳びの指導は画期的に容易になった。
また、私も微力ながら「跳び箱は誰でも跳ばせられる・・・を再び!」
で新しい方法を提示した。
さて、開脚跳びの成功率が指導の改善で画期的に上がるのなら、
閉脚跳びでも同様の方法は開発できるにちがいないと考え、5年ほど取り組んでみた。
次に示す方法で、ほぼ100%の子ができるようになった。

1 床面で準備運動。

 これは、軽い準備運動である。
 両手を床面に着いた状態で、足を上げる運動をさせたい。
 例えば、
 ・かえるの足たたき(数回)
 ・かえる倒立
 ・うさぎ跳び
等を楽しみながらさせる。
 うさぎ跳びは次のようにさせる。
 ①床面にしゃがみ手を耳の近くで構える。
 ②両手を前に着いた瞬間に足を軽く上げる。
 ③手を上に離すのと同時に膝を曲げたまま足を前に移動させる。
  注:手を後ろに組んで腰をおろした状態で移動するウサギ跳びとは異なる。

2 平均台でうさぎ跳び

 この方法を考えるのに、ずいぶんと時間がかかった。
 跳び箱の上部中央を切り込んだ練習用跳び箱が市販されているが、
なにせうちの学校にはそれが1台しかない。
 そこで、多くの子が連続して練習するには何を使えばよいかを考えたのである。
 結果、行き着いたのが2台の平均台を使ってうさぎ跳びさせる方法だった。
 下の図のように、平均台を2台平行に置く。間隔は子どもの肩幅程度である。
heikin.jpg
 この平均台の間で、うさぎ跳びをさせるのである。 

2台並べた平均台を使い、うさぎ跳びさせる。
次のようにする。
①耳元で手の平を進行方向に構える。
②マットを平均台の下に一枚敷く。
③マットを跳び越すように平均台上にポンと着手する。
④再び耳元位置に手の平をもどす。
heikin2.jpg
上の図のような感じになるが、
着手時間は短く、瞬間的に着手した力で「ポン」と跳ばせるのがコツである。
着手位置はマットの向こう側(踏切位置からみて置くの方)であるが、
最初は少し前でもかまわない。
着手時間が長いとブランコのような感じになり、中抜きという技になってしまう。
耳→ポン→耳とリズムを刻むように跳ばせるとよい。
マットは、小型のものでよいが、安全に跳べるようになったら、
マットの枚数を増やす。
3〜4枚程度が一つのめやすになる。 
練習は必ず一方通行でさせ、前の人が平均台から離れてから次の人を跳ばせるようにする。
練習前には、平均台の表面にささくれ立っているところがないか確かめる。


平均台でテンポ良くウサギ跳びができるようになったら、下の図のように
マット1枚+跳び箱用間隔ブロックを使ってウサギ跳びをさせる。
matto.jpg
やはり、「耳→ポン→耳」のリズムを守って着手の時間を短くさせたい。
着手点は、マットの手前側ではなく、着地点に近い奥の方である。
最初、マットを跳び越せないようなら、無理をせず、マットの手前からでなく
マット上から踏み切らせるようにし、距離を短くしてやるとよい。
次第に距離を長くとり、最後はマット1枚を跳び越せるようにする。
マット1枚がクリアできたら、2枚、3枚、4枚と増やす。
マットを増やした際に怖がる子がいたら、着地点にマットを敷くとよい。
この段階がクリアできたら、さらに着手部分の高さを下げる。
次の図のように、マット1枚の上に左右1枚ずつマットを重ねるようにして溝を
作る。このわずかな高さの溝の間をウサギ跳びさせるのである。
matto2.jpg
できるようになったらマットを一番下に入れるようにして2枚、3枚、4枚と 増やすのである。
要するに、平均台から始めて、マットを使ったウサギ跳びにつなげるのであるが、
いきなりマット1枚をウサギ跳びをするのは難しいので、
・平均台のステップ
・跳び箱ブロックのステップ
・マットの溝のステップ
を順に追加したのである。  

閉脚跳びを成功させるには、ウサギ跳びがマット上でできることが重要である。
そのステップについては、根本正雄先生が追究しておられる。
私が1〜3で述べて来たことは、ウサギ跳びがマット上でできない子のための
補助的なステップである。
平均台から始まって、次第に補助台の高さを下げ、最後はマット1枚分の
高さとした。
実際跳ばせてみると、マット上に作られたわずかな高さができない子にとっては
重要で、補助的な高さとなる。
マットの上に野球の塁ベースを左右に置くだけでも補助になるのである。
下図のようなカタチの跳び箱はすでに市販されている。
henkei.jpg
これもできない子にとっては、有効な補助具となる。
しかし、完全に閉脚跳びができるようにするには、徐々に削られたスペースを
小さくする必要がある。
スポンジ等を詰め、徐々に凹部分を少なくすればよいのかもしれない。

「閉脚跳び(かかえこみ跳び)は誰でも跳ばせられる 3」
までに示したステップの後、私は次のステップを作り、順に練習させる。

①マット1枚をウサギ跳び。
②マットを2〜4枚程度に増やしてウサギ跳び(着地点に安全のためマットを敷く
 ことも)。
③跳び箱1段+補助ブロック2個を跳ぶ(着地点にはマット)。

③のステップは特に重要である。
跳ぶ対象が跳び箱にかわっただけで、心理的なプレッシャを受ける子がいる。
「跳び箱は高いように見えますが、実際には踏切板があるのでマット4枚分より
 高さは低いです。安心して跳びなさい」
と話してからさせる。

④跳び箱2段を跳ぶ。
「1段上がったがブロックがなくなったので跳びやすいはず」
と暗示をかける。
⑤2段+ブロック1個
⑥2段*ブロック2個

以下、1段上げるごとに、ブロックを抜き、その後+1個、+2個とブロックを
入れる。
踏切位置と跳び箱の間にマット1枚分くらいのスペースがあると、
大きな動作で美しく跳べるようになる。

根本先生には、20年以上前に直接ご指導頂いたことがある。
とにかく、指導中に否定的にな言葉を一度も使われなかったことが今でも印象に
残っている。
笑顔で、「いいぞ」「よし」「その調子」等の言葉をかけるだけで、
子どもの意欲はこうも変わるものなのかと思った。 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 過去記事終了 ーーーーーー

最近授業でよく見かけるのが、「鉄棒カード」「跳び箱カード」といった
技の紹介カードです。
私は、それらを否定するものではありませんが、「自分にできそうなもの」だけ
を選んでできればいいという考え方には賛成できません。克服的スポーツの達成
感を味わわないまま、技にふれるだけで終わってしまう可能性があるからです。
やはりきちんと教えるべきことはあるのだと思います。
例えば、鉄棒で早い段階で親指をしっかり鉄棒にかけることを教えることが必要
です。跳び箱では、膝を曲げてやわらかく着地することを教えることが必要でし
ょう。
そして、実際の指導では、どの技が発展的に次へとつながるのかを指導者は見極
めなければなりません。



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コメント 4

ハマコウ

根気強い指導が必要ですが
凹型の跳び箱はあるのですが
よい方法を教えて頂き ありがとうございます

できないことができるようになった瞬間の子どもの顔を見られること
教員としての幸せですね

「克服的スポーツの達成 感を味わわないまま、技にふれるだけで終わっ てしまう可能性があるからです。 やはりきちんと教えるべきことはある  のだと思います。」

同感です
by ハマコウ (2012-12-01 07:49) 

たぬき3

ハマコウさん、コメントありがとうございました。
また、しばしばご訪問頂いているようで、本当に嬉しいです。
凹型の跳び箱は、使い方を誤るとすぐに「中抜き」になって
しまいます。恥ずかしながら、私自身がはじめは中抜きと
閉脚跳びの区別を明確にわからないでいました。
微力ながら、子どもたちが少しでもできた喜びを味わえるよう
情報提供ができたらと存じます。
今後とも宜しくお願いします。
子どもたちの方が私よりもはるかに上手に跳べるので、子ども
の姿に感動することの方が多いです。ハイ。
by たぬき3 (2012-12-01 16:10) 

masashi

たぬき3さん。お世話になっています。少しずつ、
http://ameblo.jp/bass52kasumi/
に引っ越ししています。
いままで同様、これからもお付き合い願えれば
幸いです。
by masashi (2012-12-01 19:57) 

たぬき3

masashiさん、ありがとうございます。
私も貴サイトで勉強させて頂きます。
今後ともこちらこそ宜しくお願いします。
by たぬき3 (2012-12-01 22:59) 

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