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算数教科書の読み方 6 [企画・思考]

算数教科書の読み方 6
算数は45分一本勝負
前回、長期記憶の分類図を引用した。次の図だ。引用元は前回の記事を読んで
いただきたい。
長期記憶の分類Fig1_long_term_memory2.jpg
ここで、再度強調したいことは、意識される陳述記憶は、エピソード記憶と
意味記憶の2種類だということ。エピソード記憶は、文字通り経験したエピソードの
記憶だ。個人が経験した出来事に関する記憶だ。意味記憶は、いわゆる知識だ。
web上の「脳科学辞典」によれば、それぞれはつぎのように示されている。

エピソード記憶
 エピソード記憶とは、個人が経験した出来事に関する記憶で、例えば、昨日の夕食を
どこで誰と何を食べたか、というような記憶に相当する。エピソード記憶は、その出来
事を経験そのものと、それを経験した時の様々な付随情報(時間・空間的文脈、そのと
きの自己の身体的・心理的状態など)の両方が記憶されていることを特徴とする。臨床
神経学領域において、単に記憶障害という場合には、通常はエピソード記憶の選択的障
害を指している。
意味記憶
 意味記憶は知識に相当し、言語とその意味(概念)、知覚対象の意味や対象間の関係、
社会的約束など、世の中に関する組織化された記憶である。例えば、「ミカン」が意味
するもの(大きさ、色、形、味や、果物の一種であるという知識など)に関する記憶が
相当する。通常同じような経験の繰り返しにより形成され、その情報をいつ・どこで獲
得したかのような付随情報の記憶は消失し、内容のみが記憶されたものと考えられる。」

一方、技能・習慣は、やがて無意識化される「非陳述記憶」だ。
引用元では、「SKILLS AND HABITS」となっている。
算数では、問題の解法が課題となるが、そもそも問題を読むというスキルを児童がどれ
ほど身に付けているかということが極めて重要だということに気付かされる。
算数の教科書を読む際には、いわゆる教材研究だけでは足りないのだと思う。関連する
スキルについての検討が必要なのだと考えている。
例えば算数固有の読解スキルだ。
クラスの日常的なテストで全ての子が平均90点をこえるというような実践を何度も目
にしてきたが、そのようなクラスでは常に読解スキルが意識されていたように思う。
少なくとも初任者が陥りがちな、問題を1回しか読ませないでいきなり立式させるとい
うようなことはなかった。
先生方が他の授業者の算数授業を参観する際には、是非ここもみていただきたい。
例題を授業者がどのように読ませているか。どんな読解スキルを子供たちが身につけて
いるかである。
 
算数は45分一本勝負である。
45分ごとに新しい内容が入って来るように見える。
算数が苦手な子ほど、毎日毎日新しい内容が押し寄せて来るように見えるに違いない。
しかし、教師には小学校算数の全般的、系統的な知識がすでにある。
そして、それなりのスキルも身についている。
その前提条件がそもそも違うのである。
私はここにも大きな落とし穴があるように感じている。
さて、今回も算数教科書の読み方がテーマだ。
今日のキーワードは「初出」だ。
例えば、「1あたり量」という算数では誰もが認める重要なキーワードがある。
では、この「1あたり量」が教科書で最初に登場するのは、どの単元だろうか。
わたしは初出を探すべく、教科書を高学年から遡って読んで行ったが、源流を探すこと
はなかなか難しい。「1あたりの」という言葉が登場する前から、そのことをねらった
基礎的指導がすでに始まっているからだ。
是非、若い先生方にはそのような読み方を時間が少しできたときにして欲しいと思う。
確かに、算数授業は毎日の45分一本勝負なのだと思う。
しかし、単元や単元をこえた大きなくくりがあるということに、気付かせたい。
子供たちにである。
特に算数については、教師が1年〜6年の教科書を通して読む。あるいは常に6年分の
教科書を傍に置いて必要に応じて遡って読むというようなことが必要なのだと考えている。
その際、自分がスキルとして身に付けていること(無意識的に)を、細かくふり返る
必要があるのだと思う。
自転車は、乗れたとたん、乗り方を意識しなくても乗れるようになってしまう。
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